第92巻 牛肉の未来 美味しんぼ探偵団 by ぐるラビ
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第92巻 牛肉の未来
山岡たちは居酒屋で食事をしていた。最後に牛皿を頼んだ富井だったが、その日はもう終わってしまったのだという。怒った富井が、酔っぱらいながら理由を聞くと、ＢＳＥ問題以来の輸入牛規制のため、牛皿に使う分の牛肉がすぐになくなってしまうらしい。更に文句を言う富井の声を聞き、同じ店に居合わせた軒田という男が声をかけて来た。彼は米国牛の輸入再開の署名を集めているというが、荒川がその安全性に疑問を持つ。アメリカ側は安全だと言っている、日本の水準が厳しすぎると軒田が話していると、背後から「アメリカの横暴から地球を守る会」とやらの支部長・牧山が反論してきたのだ。彼いわく、アメリカは自国の産物を外国に売りつける為に、政治力、暴力を最大限に振るっているという。更にそこへ加わってくる女性が一人。「食べもの安全第一協議 会」の関東支部長退く久木は、食べ物はその安全性だけ論ずるべきで反米感情まで持ち込むべきではない、と口を挟み、３人は熱く討論し始めるのだった。そこに泥酔した富井が割って入ったのだが、ただただ分けの分からないことをわめくばかりの悪態ぶりで、彼らを怒らせてしまったのだ。翌日の新聞には帝都からしっかり「東西新聞社の無知」と記事を書かれてしまい、富井は局長から首の宣告を受ける。そんな富井に助け舟を出す局次長は、富井への仕事だと、調理師を目指す高校生が「究極のメニュー」に挑戦をかけてきたことを話す。その高校生たち「高志会」が新しい牛肉の食べ方を考えてくれ、というのらしい。あまり乗り気ではない局長であったが、その「高志会」との席で今回の件の挽回が出来る、と局次長は小泉局長を説得した。早速取りかかる山岡とゆう子。当日集まった高校生たちに出されたのは、焦げ茶の粉上の物。皆、不思議にみていたがそれが牛肉だと分かり、驚きの声を上げる。それを使った、海苔巻きにピザが出され、おお喜びする高校生たちだったが、ここで山岡から牛肉が危機にさらされていることを話し、富井の口からＢＳＥ問題について話すことになった。 富井は高校生たちにＢＳＥについて話しを始めた。ＢＳＥの症状や、その病原菌、その発祥の原因や、現在までにおける人間への被害、牛肉飼育産業の現状等が説明される中、再び同席していた先日の３人がそれぞれに語り出す。アメリカがちょっと脅せば日本は輸入を再開すると読んでいること、牛には安全な部位とそうでない部位があることを認識している、と。また、２０ヶ月以内の牛は大丈夫だと言う軒田の意見に対し、その月例の判別のあいまいさや、検査の杜撰さについても久木の方から声が上がる。また飼料の面で、一度禁じられたはずの肉骨粉だが数年後に検査してみると、ＢＳＥ感染の大きな原因とも言える、肉骨粉が流通していたことも話しにのぼった。山岡は、日本ならこのようなことも隠し通すであろうが、柔軟なアメリカならではの社会性に期待して 、日本の消費者が信頼できるような牛肉の生産体制を作るべきだ、と意見を述べた。ゆう子もまた、現状ではアメリカの牛肉の安全性は納得できない、アメリカがどう言おうと、我々には食べ物を選ぶ権利がある、と続けた。そして、高校生たちからも「安全性の問題を力で押し切られるのはごめんだ」「アメリカの牛肉がなくても私たちは生きていける」との声があがった。ＢＳＥ問題がかなり白熱したところで、更においしい牛肉の料理が出された。薄切り肉をエンドウ豆の餡に浸した料理や、牛肉の串揚げ、牛フィレの丼など、食感も味も新鮮なものばかりで、高校生のみならず、ＢＳＥ関連者たちも多いに満足した様子だった。調理師志望の高校生たちは調理だけでなく、ＢＳＥについても勉強になったと話し、関係者たちも、こんな新聞社の対応を求めていた、と東西新聞の面子も回復されたのだった。 |
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