第40巻 オーストラリアン・ドリーム 美味しんぼ探偵団 by ぐるラビ
美食探偵団 > 食の安全を考える > 第40巻 オーストラリアン・ドリーム にいます。 第40巻 オーストラリアン・ドリームいよいよ、「究極」vs「至高」のメニューのオーストラリア対決も佳境に入ってきた。 帝都新聞から、今回の場所の選択は任されたと山岡たちに大原が話す。山岡たちは、今度こそ勝つために、自分たちが勝ちやすい場所を選べと小泉からもはっぱをかけられる。富井たちと一緒に昼食をとった山岡は、皆の言葉からある夢をテーマにしようと思いつく。そして、自分たちが勝つために、“オーストラリアが我々に与えてくれる夢”と題してタスマニア、ウエスト・オーストラリアの二州を一緒にやりたいと山岡は大原たちに提案する。「至高のメニュー」側もこれを受けて立つ。 世界味めぐりのメンバーでもある、金城、まり子、ゆう子、山岡が今回もオーストラリアへと向かうことになる。旅行の前に、近城とまり子は、今度の旅行で必ず山岡とゆう子を自分のほ うに振り向かせようとお互いに、協定を結ぶ。 一行は、まずタスマニア州ホバート市に乗り込む。山岡たちを出迎えたのは、ガイドの伸江と一行のバスの運転手をするという団社長である。近城とまり子が、団をメンバーから追い出そうとするが、これから会いに行こうとしているトレヴァーと団が知り合いなことがわかると、山岡が素直に誘うので、近城たちの目論見は外れる。 山岡はまず一同を、鮭の養殖場へ連れていき、トレヴァーを紹介する。タスマニアまできてなぜ鮭の養殖なのか?とその理由をもとめる仲間に、ゆう子がここは今回の主題に沿っているからと説明する。今回の「究極のメニュー」の主題は、非汚染という夢だとゆう子は話す。空気も、水も、食べ物も汚染されている日本人にとって、非汚染はオーストラリアが与えてくれる夢なのだと山岡も話す。けれども、なぜ汚染の代名詞のような養殖の魚のどこに非汚染の夢があるのか、近城、まり子、団は余計に困惑するのだった。 非汚染をテーマにするといった山岡は、タスマニアは、養殖魚でさえも安全に育てることのできる環境を持っているということを説明する。トレヴァーは、タスマニアでは養殖魚には薬を使わないこと、水質検査も毎月していること、タスマニアの川にはもともと寄生虫がいないこと、魚へのえさもペレットにして与えるので海水の汚染もないことなどを補足説明する。一同は、養殖魚でさえもこんなに安全に育てることが出来るタスマニアのすばらしさに感激する。 つぎに一同が訪れたのは、ケープ・グリム気象観測所である。地球の大気汚染を監視するところだが、気象研究者のジエーンによれば、この観測所の存在する緯度周辺が世界で一番空気がきれいだという。ジェーンから、大気汚染は、地球の自転方向に広がるが、最終的には世界中に影響を与えると聞いて、 どんなことでも自分たちだけの問題ではないことに皆気づく。 一行は、次に蜂蜜業者・ジュリアンを訪れる。そこで、一同は空気も水も土も汚染とは無縁の、純粋な香り高い蜂蜜に出会う。そのあまりの美味しさに、皆蜂蜜を食べることに夢中になってしまう。こうして一日いろいろと魅力あるものを発見した山岡たちは、宿泊地ホバートのホテルに向かう。ところがそのホテルの前で、山岡たちは、海原雄山に偶然出くわす。 すると雄山は、山岡たちに、オーストラリアの国土は人間の手でまだ汚されていないから、安全で味の良い食べ物が取れるが、そんなことを夢と思っていないだろうなと釘を刺す。そして、我々日本人が絶対に手にいれられないオーストラリアの汚されていない国土を見つけることが、日本人に夢をあたえることなのか?と厳しい言葉をかける。この雄山の言葉に「究極のメニュー」側は、愕然とするのだった。 タスマニア取材では十分成果があったのだが、非汚染をオーストラリアが与えてくれる夢とすることを雄山に否定されて、山岡はすっかり自信を失ってしまう。しかし、雄山に勝つための材料探しだけは続けられる。 一行は、バースでマロンというオーストラリア原産のザリガニの養殖場を訪ねる。タスマニアの鮭同様、病気の心配のない恵まれた自然環境でちゃんと正しい管理で行われるなら養殖も悪くないという意見で、皆は一致する。また、農園でキウイだけでなく、日本から輸入された二十世紀梨が栽培されているのを見たり、自家製ヤギのチーズを売る農場を見学したりもする。そして一行は、ウェーブロックというとても変わった岩を伸江の勧めで見学する。そこでゆう子は山岡に非汚染は、本当に日本人の夢にならないのだろうかと自分の疑問をぶつける。そ の言葉を聞いて、山岡は何かを感じ取る。 いよいよ対決のとき、「経済的な豊かさのみを目指すのではなく、世界中の人々が集まって来たいと言い、またそういう人々を受け入れることの出来るような、オーストラリアのように精神的に豊かな国作りを目指してこそ、日本の将来はあるのではないか?これこそ我々日本人にオーストラリアが与えてくれる夢なのだ」と雄山は述べる。 「至高のメニュー」が出してきた料理は、エミューの肉である。エミューはダチョウのように大きな鳥で、野生の保護鳥はもちろん食べられないが、飼育したものは食用できるのだと雄山は説明する。このエミュー肉に、オーストラリアで栽培している日本のりんごふじと、日本のなし二十世紀で作ったソースをかけた一皿がだされる。その混然としたおいしさに皆うなる。そして、雄山はこの料理こそ、先ほど述べた夢の象徴だと断言し、皆を感服させる。 次は、「究極のメニュー」の番になる。すると、山岡は一同を前にして、我々の考える夢は非汚染の夢だと言い放つのだった。 いよいよ「究極のメニュー」側が料理を発表する。ゆう子たちはまず、タスマニアの雨水を審査員に飲ませ、タスマニアの自然環境が汚染されていないことをアピールする。そして、料理の紹介に入る。 一つ目の皿は、タスマニア産仔牛のステーキである。一見何の変哲もないステーキに見えるが、生後十二か月未満のまだ母親の乳を飲んでいる時期の仔牛、ミルキング・ヴィールを使用したものだ。母牛の食べるのは牧草のみ。仔牛はその母牛の乳を飲み、食べるのはやはり牧草のみ。タスマニアは、人間の住める所としては世界で一番環境汚染の少ない土地、その土地の牧草しか食べていない仔牛の肉は、ソースを何もかけなくても充分においしいと山岡たちは語る。審査員たちは、非汚染の仔牛のおいしさは認めるものの、非汚染というのは日本人にとって現実的な夢 からはあまりにもかけ離れていないかと指摘する。 それにたいし対し、山岡たちは次の皿を出す。もう一つの料理は、オーストラリア独特の淡水ロブスター“ マロン”をゆでたものである。これはウエスト・オーストラリアで養殖されているものだが、元々自然にマロンが生息しているのと同じ条件で飼われているので、養殖につきものの病気とか、それにたいする抗生物質などの心配は要らないと山岡は説明する。そしてこれこそが、まさに、非汚染の環境の賜物だと話す。つまり、この二つの料理は、どちらもオーストラリアの非汚染から生まれたものだが、この非汚染というのは、現在の工業立国日本でも非汚染にたいする努力を続ければ決して望めない“夢”ではないと山岡たちは主張する。 勝負の結果は・・・双方とも、予想に反し、重く、辛口の夢なのだが、夢は多いほうが良いということから、今回も引き分けとされる。そして、山岡とゆう子はこの試練を乗り越えて、ますます仲が良くなるのであった。 |
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