グラン・クリュのシャンパン  ワイン探偵団 by ぐるラビ

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グラン・クリュのシャンパン

グラン・クリュのシャンパン

栄えある特級シャンパーニュは17村。

シャンパーニュAOCを構成する317の村のうち、グラン・クリュ(特級)の栄誉は17村だけに与えられています。

グラン・クリュが存在するのは、モンターニュ・ド・ランスの東部の北と南斜面、ウ゛ァレ・ド・ラ・マルヌに入り口部分、そしてコート・デ・ブランの北部。
17ある村の行政区域すべてがグラン・クリュなのではなく、村に属する葡萄畑がグラン・クリュなのであり、一部の村はごくわずかな畑しかない。

1)モンターニュ・ド・ランス  9村
2)ウ゛ァレ・ド・ラ・マルヌ  2村
3)コート・デ・ブラン     6村

栄えある17の特級畑 グラン・クリュ

  シルリー(Sillery)   マイイ・シャンパーニュ(Mailly Champagne)
ウ゛ェルズネイとマイイの斜面下、平地部分にあるシルリーは、前2者と比較すれば条件が悪い。霜害もよく受ける。 たぶん地質はミクラスター・チョークだろうが、それでもピノ・ノワールは、ウ゛ェルズネイに共通する透明感と緻密さがあり、しなやかでエレガント。平地にあって風が強いことが、涼しげな味わいを生む。 ウ゛ェルズネイの繊細な側面をさらに拡大し、その力強さや大きさを減じたような味わい。 色気はそれほどないが、定規で線をひいたような生真面目な性格。 北向きの斜面ならではの酸、浅い表土ならではのミネラリティが素晴らしい。ピノ・ノワールの産地。 1972年にグラン・クリュに昇格されたシャルドネは神経質。
  ピュイジュー(Puisieulx)   ウ゛ェルズネイ(Verzenay)
平地にある普通の農地の中に忽然と葡萄畑が出現する不思議な風景。 オーナーは、モエ・シャンドンとミシェル・デュヴァルのみ。後者は協同組合に売る。 前者はブレンドに使用し、ドン・ペリニヨンのジェフロアによると、その原料の味は(ミッドの密度はあるが、往々にして細身。ソフトで優しい。沖積土壌だから。) 疑う余地なく最良の畑である。シルリー侯爵の伝説的なシルリーワインは、実際にはその大半はウ゛ェルズネイの葡萄から造られていた。 流麗な質感のもとに隠れた真の強さはミュジニーを、その静謐な球形のバランスはクロ・ド・ベーズを想起させる、素晴らしいピノ・ノワール。北向き斜面ならではの精密な酸もよい。
  ウ゛ェルジー(Verzy)   ボーモン・シュール・ヴェール(Beaumont sur Vesle)
1985年に昇格。ウ゛ェルズネイのとなりにあるが、ウ゛ェルズネイの貴族的な品位とはずいぶん異なり、ざっくりとした剛直な味わいで、ミネラリーではあるが、粒が粗い。スパイシーさとスモーキーさがあり、たとえてゆうならモレ・サン・ドニ的。 ピノ・ノワールの方が質がよいが、昔はシャルドネの産地だったという。

ウ゛ェルズネイの斜面下の平地にある畑。ウ゛ェルズネイの名声ゆえに、ここもグラン・クリュになったのだろう。 地質は平地らしく、ミクラスター・チョーク。知る限り村には3人の生産者しかおらず、単独のワインも飲んだことがないので、その味はわからないが、土地から想像するに、ソフトで薄めの味わいだろう。

  アンボネイ(Ambonnay)   ブジー(Bouzy)
ゆったりと広がる東南斜面の畑。味わいは豊満で、明朗だが、あまりミネラリティではなく、ジェフロワが言うように(単純で、表面的)な部分もある。たとえて言うなら、ボーヌ的。オークのタンニンが過度な構造を与えるため、樽との相性がよい。酸は低く、ノン・ドゼでもバランスがとれる。ロゼや赤の質が良い。 昔からブジーは赤ワインの産地として有名で、今でも多くの生産者が誇らしげに赤ワインを造り、斜面の最良の区画はそのために利用されることも多い。ブジーの味わいは、クローブや黒コショウ的なスパイシーさと、チェリーリキュール的な濃密な果実味が特徴。質感はざっくりとしており、ポマール的な骨太の性格だ。
  ルーウ゛ォワ(Louvois)   トゥール・シュール・マルヌ(Tours sur Marne)
ブジーの西に隣接する小さな丘にあり、方位は南西に向く。標高が高く、畑からの見晴らしがよい。すぐ近くに森があり、そこからの冷気が下りてくるのと、風通しがよいため、ワインは涼しげで可憐な性格を帯びる。ブジーと共通するスパイシーさやしっかりとした果実味があるが、質感はブジーと正反対になめらか。 地図上ではブジーの西隣にあるが、地形的には無関係で、ブジーが山だとしたら、こちらは非常になだらかな丘。 ウ゛ァレ・ド・ラ・マルヌの東端であり、土壌は軽く、川の影響が観られる砂利があり、ワインはフルーティで、酸が柔らかいが、骨格が緩い。PNを植えればグラン・クリュだが、Chは90%と低い格付け。
  アイ(Ay)   シュイイ(Chouilly)
中世よりシャンパーニュ最上の畑とされる。最良の区画は村のすぐ後ろにある南向きの急斜面だが、アイの品質は全般的に優れている。表土は浅いが、ウ゛ァレ・ド・ラ・マルヌらしく、畑には砂利もわずかに見られ、土壌は複雑。味わいはウ゛ォーヌ・ロマネ的な風格と壮大な広がりがあり、濃密さと緻密さのバランスが見事。 1985年に昇格。Chはグラン・クリュだが、PNは95%。畑は広く、大半が平地にある。 ミネラリティは弱く、酸もおとなしいが、全方位からの風が吹くために清涼感があり、全体のバランスがよい。白桃や洋梨のような柔らかい白い果実の風味。畑の最良区画はサランの丘の斜面上にあり、クラマンに隣接する。
  オワリー(Oiry)   クラマン(Cramant)
1985年に昇格。シュイイに似て、サランの丘の斜面下が最良の区画とされるが、畑の大半は平地にある。オワリー単体のワインは飲んだことがないのでわからないが、聞くところではシュイイと同系列の味わい。ここの地質にはベレムナイト・チョークは存在しないようだ。町は畑からはなれており、工場が並ぶ。 単一クリュのワインの完成度から見るのか、ブレンド用要素としての個性の強さから見るのかで、コート・デ・ブランのグラン・クリュの評価は大きく変わる。クラマンの豊満な黄桃的果実味と厚くクリーミーな質感とゆったりとして強いミネラル感は、単一クリュで味わいたい。はつらつとしたエネルギーと品位を両立する。
  アヴィーズ(Avize)   オジェ(Oger)
マッシブな実態感のあるミネラリティと、濃密な果実味と太く切れ込んでくる酸の、明瞭な個性。セロスによれば(アウ゛ィーズの土はスポンジのようで柔らかく、葡萄の根がどこまでも伸びるため、ミネラルが強くなる)。また、(斜面中部は厳格さと熟度、斜面下部はボリューム、平地はフィネスを特徴とする)。 1985年昇格組だが、ここの地質は優れたベレムナイト・チョーク。オジェはアウ゛ィーズやル・メニルから一段奥まった、東向きのパラボラ・アンテナのような形状をしており、北風の吹かない暖かいミクロクリマ。ワインはリッチでおおらかなパイナップルなどのトロピカルな風味と、低い酸と、安定した構造が魅力。
  ル・メニル・シュール・オジェ(Le Mesnil sur Oger)
1985年に昇格。鋭利で鮮烈なミネラルと酸は他では得難い個性で、ブレンド用要素として重宝され、多くの人が考える典型的なシャンパーニュの味に寄与する。若いうちはハーブ、レモン、チョークの粉のような香りで、熟成するとモカとナッツの香り。全体に腰高で、単独のワインとしてバランスをとるのは難しい。

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